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7.ふるさとにつたわる民話
(1)やさしいひめ山
大内に美しいすがたを見せているひめ山には、こんなお話が伝わっています。
むかしむかし、そのむかし、山口の町に、それはそれは美しいむすめがいました。むすめの名前を知っているものはあまりいませんでしたが、そのむすめを知らないものは、一人もいませんでした。
ある日のこと、山口にいたおとのさまがそのむすめをごらんになって、とっても気に入り、わすれられなくなってしまいました。そこでおとのさまは、むすめをつれて来るようけらいをつかいに出しました。けれども、むすめは、ほかにすきな人がいるのか、どうしても、おとのさまのもとへ出むくことをしょうちしませんでした。これ聞いたおとのさまは、たいへんはらをたてられ、あるばん、けらいにむすめをむりやりしばってつれてこさせ、ひめ山のてっぺんにおいやりました。そして、かわいそうにも、古井戸になげこみました。井戸の中には、たくさんのへびがいて、むすめにおそいかかりました。むすめは、あまりのかなしさに、
「わたしは、美しくうまれたばっかりに、こんなつらいめにあいました。後の世の女の人に、こんな苦しみを二度とうけさせないために、このお山から見えるかぎりの所にはこれからずっと、美人がうまれませんように。」
と、言いのこして、もだえ苦しみながら、死んでいきました・
美しい形をした山の名は、やさしく「ひめ山」とのこっていますが、それからというものは山口には、美人がうまれなくなったということです。