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7.ふるさとにつたわる民話

(2)えんこう地蔵

 むかしむかし、問田川では、夏になると、川に水あびに行った子どもたちが、よくおぼれて死んでいたそうな。これは、きっとえんこう(かっぱ)が引っぱりこんでいるにちがいない。いつかきっとつかまえてとっちめてやろうと、村の人たちは、口々に言っていた。 ある日のこと、ひゃくしょうが、川で馬をあらっていると、とつぜん、何におどろいたのか、馬がヒヒーンとないて立ち上がり、川から走り上がったと。ひゃくしょうは、たまげて馬の後をおいかけてよく見ると、なんと、えんこうが馬のしっぽをひっつかんで、ぶらさがっているではないか。かわらへ上がっても、えんこうは、まだしっかり馬のしっぽをにぎっている。馬は、一声高くないたかとおもうと、おもいっきり後足でけりあげた。


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  すると、えんこうの頭のさらがわれて、中の水が流れでてしもうた。さらの水がなくなっては、さすがのえんこうも気ぜつしてもうたと。さあ大変。えんこうが陸(りく)に上がって気ぜつしたげなと、村の人たちが、手に手にぼうぎれやくまでを持ってやってきた。
「ええい、むすこのかたきだ。」
「やい、弟のかたきだ。」
と、わめきながら、てんでにたたきあげた。たたかれて気がついたえんこうは、
「どうか命だけはおたすけください。そのかわり、これからはぜったいに、子どもをひっぱりこんだりはいたしません。」
と、頭をすりつけてたのんだと。


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  村人たちは、ここでだまされてはならぬと、
「そんなことはうそにきまっている。おい、みんな、つかまえてしまおう。」
と、口々にさけんだと。

 すると、えんこうは、
「いえいえ、けっしてうそはもうしません。それでは、これまでになくなった子どもたちのために、石のお地蔵さんをつくってください。そのお地蔵さんのおしりがくさらないかぎり、でてこないとやくやくします。」
と、おろおろしながらたのだそうな。


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 すると、一人の男が、
「おまえのいうことは、ようわかった。じゃが、いったい、えんこうの親分というもんはおらんのか。」
と聞くと、えんこうは」
「はい。親分は、木曾川(きそがわ)の谷のおくにおります。命をたすけてくださるなら、ごおんがえしに、全国のえんこうが、人や馬にいたずらをしないようにへ親分にたの んでみます。」
と、やくそくしたと。
 それからというもの、問田川をはじめ、全国の川から、えんこうのいたずらがなくなったそうな。めでたし、めでたし。

 このお話は問田の光厳寺(こうがんじ)の門前にあるお地蔵さんに伝わっている話です。このお地蔵さんを「えんこう地蔵」とよび、いつも水がきれないように、花といっしょに水がおそなえしてあります。このお地蔵さんは明治のはじめごろまでは、問田の藤村という所の土手にありましたが、そのあたりを田や畑にする時にする時に、光厳寺の門前まにうつされたものです。


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みなさんも、一度おがみにいってみたらいいですね。


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