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平成23年度版 学校だより「そよげ風」  3月号より

 確かな子供の成長と進学・進級、そして別れ

                          校長 上 田 保 明

 昨日、嬉しいことがありました。恥ずかしがり屋さんなのか、友達とは良く話をするようなのですが、私とは会話をすることのできない子供がいます。私は本校勤務3年目ですが、赴任当時から気になっていた子供の一人です。その子が、昨日、たった一人で“校長室暗唱”に来てくれ、二つの詩を暗唱してくれたのです。声は小さかったのですが、確かに声を出して暗唱しました。嬉しくて、有頂天になり早速職員室の話題にもしましたし、その日は家内から“指導”を受けてしまうほど晩酌もすすみました。子供の小さくではありますが“成長”を実感できる現場にいることの嬉しさを体感した日でもありました。

 本校の児童数は530名です。530の家庭・個性を持った子供たちですので、正直いろいろな問題も抱えています。小学生は活発が良いと言われますが、活発すぎるが故に集団から浮いてしまう子、色々な事情で登校時間が遅れる子など様々です。大げさに言えば530の問題を抱えているとも言えましょう。しかし、その子供たちも確かに成長しているのも事実です。度々トラブルを起こす子供が集団のムードメーカーになったとか、引っ込み思案な子供がある行事で役を任せられ生活全般が前向きになったとか、職員室でも年度末ともなりますと嬉しい話題が増えてきます。各ご家庭の協力もさることながら本校職員の熱意ある取り組みの成果と私の頬がゆるむ時でもあります。

 季節の移ろいは早く、今年度も残すところ後1ヶ月となりました。子供たちは進学や進級へ向け、担任とともに最後の追い込みに取り組んでいるところです。6年生は3月16日(金)に実施します卒業式の練習を昨日から始めました。小学校生活最後の晴れやかな舞台となることを今から期待しています。

 さて、かく言う私も今年度末をもちまして定年退職となります。本校勤務は3年間でしたが保護者・地域・教職員の皆様の協力を得てどうにか3月を迎えることができそうです。この3年間、子供たちの基礎学力を向上させたいとの思いから“朝の時間”を活用して、計算・漢字・音読・暗唱・読書に取り組みました。全児童へ音読集を持たせ、計算・漢字・音読大会の導入、話し合いの活発な授業づくりに全職員で取り組みました。その成果をPTA役員の協力の下に行いました全国大会で全国の多くの方々に参観いただき、子供の学ぶ姿のすばらしさとしてお褒めいただきました。取り組んできたことが間違っていなかったと確信した時でもありました。来年度も国語科を中心に子供の話し合いの活発な授業づくりに取り組むことを決めました。これからも小郡小学校の子供たちが、国語という教科を通して語彙を増やし、心豊かな人間として成長してくれることを願って退任のご挨拶といたします。伝統ある小郡小学校へ勤務することができ幸せでした。皆様に感謝申し上げお礼といたします。



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平成23年度版 学校だより「そよげ風」  2月号より

自慢:子供点描T・・・“静”と“動”

 朝の時間(8:10〜8:30)には曜日によっていろいろな活動を仕組んでいます。中でも水曜日は“音読”の時間。朝から朗々とした声が全校に響き渡ります。一方、金曜日は読書の時間。全校をあげて読書に取り組みます。全校ですので例外はなし。事務室も保健室ももちろん職員室・校長室でも“読書”を行います。廊下を歩く者もいない静かな時を学校全体で共有します。中でも嬉しいのは図書ボランティアの保護者の方が読み聞かせを学年ごとに行ってくださり、それに聞き入る子供たちの姿です。6年生の子供たちも聞き入り静寂の時が流れます。“動”と“静”のある学校はすてきです。



自慢:子供点描U・・・ほほえましい光景

 私の仕事の一つに、給食の“検食”と言うのがあります。今日の給食に異物は入っていないか、味や量は適当かなどを子供たちが食べる前に言うならば“毒味”をするのです。ですから4校時の終わり頃には校長室で一人で給食をいただきます。
 1月のある日、検食をしておりますと、校長室のガラス障子の向こうで体育の時間にサッカーをする高学年の姿がありました。女子がボールをキープして一人でドリブルしながらゴールへ向かっています(ゴールは校長室側にありますのであたかも私の方へ向かって走って来るようです)。シュートをしようとしたその瞬間、どうしたことか前のめりに転んでしまいました。併走する者はいませんでしたので一人相撲といったところです。どう決着がつくのかと興味津々で食事の手を止め、見入りました。
 女子はしばらく立ち上がりません。すると三人の女の子が走り寄って立ち上がらせ、体操着の泥を払ってやっています。幸い怪我はないようです。顔をのぞき込んで優しく声を掛けているようでもあります。一人の女の子は背中を優しくなでています。 転んだ子供はようやく平常心を取り戻したのか動き始めました。ゲーム再開かと思いきや転んだ女の子の足下にボールが運ばれてきました。そこからシュート。ゴールしたかどうかは障子の陰になって見えませんでしたが、ゲームは再開したようです。
 本来ならゴールキックのはず、サッカーに今のようなルールがあったかは疑わしいのですが、臨機応変に自分たちで仲良くゲームを作り上げていく姿から、心優しい人として育っている様子を垣間見た感じがして嬉しくなりました。
 一人で仕事として食べる“検食”の時間がどうかすると寂しくもありますが、この日の“検食”は心嬉しく、ことのほか美味しい昼食の時間となりました。



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平成23年度版 学校だより「そよげ風」  1月号より

年は『うまれたて』の気持ちで!    昨年の締めくくりは校内持久走大会

  
                           校長 上 田 保 明
 
 新年、明けましておめでとうございます。皆様、それぞれに新たな気持ちで新しい年をお迎えのことと拝察いたします。私も工藤直子さん扮する“たつのこ たかし”君の詩(今年の保手浜さんのカレンダーの巻頭詩)、『まいあさ おきたら/「うまれたて!」/みたいな きもちで/めを さまそう/・・・・って きめたんだ/ね、きみは/どんなこと きめた?』に触発されて、本年度のキーワード『おはつ』の精神に立ち戻り、日々新たな気持ちで毎日を過ごしたいものだと強く感じた正月でした。1年の締めくくりの学期となりました。さらなるご協力をお願いいたします。

 さて、12月で特に印象に残ったのは、雨天で延期となり12月12日(月)に実施した校内持久走大会でした。PTA保健体育部を中心とする役員の皆様の寒い中でのご協力もさることながら、多くの応援の中を風を切って走る子供の姿に感動しました。今年も感動の涙を見ました。それも一人ならず数人も。

 低・中学年のレースも見応え十分でしたが、高学年のレースは圧巻でした。スタートで転んで最下位から入賞した5年生の子供、デッドヒートを終えての涙。6年生の女子は1,2位ともに涙していました。聞いてみると常勝であった子を初めて抜いて1位になった喜びを涙で表現。一方、今年も勝てるであろうと思っていたのか、思いもかけず負けてしまった悔し涙。さらに男子も同様でした。1位になった喜びを涙で表現していました。1,2位を常に競っていた子が随分順位を下げ、呆然とする姿もありました。聞いてみると途中、足の痙攣で遅れてしまったとのこと。

 小さくはありますが持久走大会に“人生”を見ているようでもありました。遅くとも地道に走り続けてゴールして得た達成感の味、目標を持って地道に努力した結果手に入れた栄冠、一方、常勝が破れ、過信(本人にとっては決して過信ではない)を反省する姿、人生には思いもかけない番狂わせもあることなど、多くを学び得た大会だったように思います。大会を終え、肉体的にも精神的にもまたひとまわり大きくなったように感じました。

 二学期を締めくくるにふさわしい多くのドラマのある校内持久走大会でした。さらなる磨きをかけるべく三学期が始まります。卒業、進級へ向け教職員とともにがんばります。お力添えをよろしくお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。



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平成23年度版 学校だより「そよげ風」 12月号より

研究大会を終えて・・・小郡の底力を実感

  
                           校長 上 田 保 明

朝、バス停で方向がわからず通りがかりの中学生に尋ねました。すると自分たちが案内すると言ってくれました。とても素敵な中学1年生でした。山口県の、小郡中の子供たちの全体印象がとても素敵になりました。


朝、道路に立ってくださったり,校内の案内をしてくださったりしたPTAの方々、学校をぴかぴかにしてくださった校務員さんなどたくさんの人に感謝。


朝の音読タイム・・・すてきな取組でした。勉強になりました。


とてもあたたかい雰囲気で学習規律もきちんとしていて好印象でした。


どの先生もしっかりとした教材研究の中、授業をされていたところがよく伝わってきました。参加者の少なかったのが残念でした。もっと多くの方に参観していただきたかったです。


鹿児島県から参加しました。児童の一人読みから話し合い(発表)、学び合いと、子供たちがどんどん授業を進めていく、意見を出しあっていく姿、すばらしいと思いました。


子供たちの心をガッチリとつかんでの授業でした。子供たちの顔、姿を見て、「私もこんな授業がしたい!」と心底感じました。見ている方もグッと引き込まれ、あっという間にすぎた45分でした。ありがとうございました。実は私、教師をやめたいと思っていました。でも、もう一度がんばってみます。そんな一日でした。来てよかったです。


図書室がすてき。とくに図書ボランティアの方の活躍がすばらしいです。特殊才能ですね。参考にさせていただきます。


福田先生のピアノコンサートは心まで美しくなるような感じがしました。冨山先生のお話はとてもわかりやすく、授業を見直そうと思えました。宮西先生の講演はおもしろくて感動するだけではなく言葉の大切さも感じました。


PTAの方、たいへんお世話になりました。寒いときに温かいお茶、コーヒー、本当にありがたかったです。ありがとうございました。


 北は福島県、山形県、南は鹿児島から300名(県外から100名)を超える先生方をお迎えして、25日(金)に第50回全国国語科教育研究大会を開催しました。上記は参観いただいた方々のアンケートの一部です。お読みいただきますと地域力、PTA力、子供たちの力、教職員の力等ご理解いただけ、筆下手な私が駄弁をろうするまでもないと思い掲載し、今月の私の責に代えます。 皆様、よい年をお迎えください。

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平成23年度版 学校だより「そよげ風」 11月号より

校訓碑・全国大会・恥の心が成長させる

  
                           校長 上 田 保 明

 私は本校勤務3年目となりましたが、赴任当初、県内でも屈指の歴史と伝統を有する小郡小学校ではありますが、何かしら足りないものを二つ感じておりました。その一つが、“校訓碑”のないことでした。長い歴史の中で先人が英知を絞って生み出したであろう小郡小学校学校教育の象徴とも言える校訓、「温」「強」「活」の文字が来客者の目に入らないのです(校舎屋上には掲げてあります)。長らく気になっておりましたが、今年に入ってPTA執行部に話しましたところ思いもかけず賛同いただき、PTA役員会でも全員の賛同を得てPTAの寄贈で設置いただけることとなりました。

 工事は縁あって本校の保護者である外村さんの造園師のお父上にお願いすることとなりました。石の加工費のみで工事費は無料、破格値で引き受けていただき11月1日に完成しました。否応なしに目に入る校訓「温」「強」「活」を来客者には学校のめざす子供の姿の決意表明としてご覧いただき、保護者の皆様と我々教職員はめざす方向性を共有し、さらに教職員は日々校訓の具現化を進める決意を新たにすることとなります。伝統ある本校に価値ある財産を頂戴しましたこと、この場をお借りし報告とお礼といたします。7日(月)に5・6年生と共に除幕式をして披露することとなります。また、25日の全国大会では多くの参観者にご覧いただきます。

 さて、本校に足らないと感じた二つめは、子供たちに関することです。都会的でセンスのよさは持ちながら、何だか覇気を感じませんでした。あいさつをしても返事は返らず、はじける元気さを感じなかったのです。そこで始めたのが“音読”です。教室の中で朗々と声を出して本を読む習慣がつくと、生活にも張りが出て、会話の声もあいさつの声も大きくなって覇気が生じてくるだろうと考えました。始めてみると名詩を暗唱し、音読大会では朗々と声を出す姿が見られ嬉しくなりました。心なしかあいさつの声も大きくなったように感じます。コミュニケーションの第一歩は声を発すること、あいさつをすることから始まります。         
     
 この変容ぶりを11月25日(金)の全国国語科教育研究大会で全国の先生方にご覧いただきます。教職員もその準備に大わらわです。あいにく地域・保護者の方々は参観できませんが、子供たちは担任と共に培ってきた日頃の成果を披露することと思います。教職員も“恥ずかしい思いをしたくない”という思いを持ってちょっと背伸びをすることと思います。子供もちょっと格好をつけるでしょう。両者とも“恥”をかかないようにちょっと頑張ることが成長することにつながります。校訓碑もでき、図書ボランティアの皆さんにも環境づくりに取り組んでいただいております。ちょっと背伸びをして子供に力のつく大会にしたいと考えております。




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平成23年度版 学校だより「そよげ風」 10月号より

国体見学:水球にみる努力

  
                           校長 上 田 保 明

 半世紀に一度という国体の開会式が天皇皇后両陛下をお迎えして、10月1日に盛大に開催され、私も出席しました。本校からも開会式の選手団入場の先導隊パレード隊として吹奏楽部の5名が入場演奏をしました。堂々たる演奏と行進で感動しました。また、震災復興を願う大会でもあるため、各県の選手団も入場には横断幕を持参し工夫を凝らしていました。その選手団の入場にも感動しました。日頃から鍛えたアスリートぞろいで、はつらつとした行進、態度でした。

 開会式の諸行事に感動しながら、開会式に先立って9月中旬に行われました水泳競技の応援・観戦に参加した5、6年生の感想を想起しました。9月14日にきらら博記念公園プールで行われた“水球”を観戦した子供たちの多くが帰校後、水球のすごさを口にし感嘆していたことを思い出したのです。水球は8分間(ゴール後や反則時のロスタイムは除かれるのでいつも10分程度になるようです。)の4ピリオドを行うようで、その運動量の多さには驚愕したようでした。足のつかないプールで立ち泳ぎをし、しかも体をぶつけ合って激しくボールを奪い合う競技を目の当たりにして国体級のスポーツ大会のレベルの高さを実感したようです。これには伏線があって、観戦に行く前に、担任は子供たちにプールでポートボールをさせていました。プールで競技することの大変さを体験していたので、観戦した水球のすごさに感動したようです。

 子供たちの感想のほとんどは、長時間の立ち泳ぎに耐える体力と気力のすばらしさに感動したというものでした。泳ぐことの大変さを実感している子供たちは“訓練・鍛錬”することの大切さを口にしていました。日々のたゆまない努力が8分間以上も泳ぎ続ける体力と気力として結実するのです。

 つい先日、たまたまテレビを見ておりますと、楽天の元監督の野村さんがお孫さん(小学校高学年)と二人で40年ぶりに野村さんの生まれ故郷を訪ねる番組を流していました。年齢差のある二人の会話がかみ合わなかったり興味の視点が違っていたりしていましたが、微笑ましい番組で、ついつい見入ってしまいました。野村さんが都会育ちのお孫さんに野性味を持つことの大切さと、繰り返し話していたことが“努力”することの大切さでした。野村さんのお孫さんのみならず多くの現代っ子に欠けていることは“努力”という言葉に象徴される日々の取組のように私も感じます。“夢をもつ教育”は強く推進していますが、実現するには地道な精進が必要なことは当然です。

 水球を観戦した5,6年生は少しなりと、日々の地道な“努力”の大切さを学んだことでしょう。“努力”という観点から国体を見守り、ご家庭でも話題とされてはいかがでしょう。




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平成23年度版 学校だより「そよげ風」 9月号より

11月の国語の全国大会へ向けて

  
                           校長 上 田 保 明

  今日から二学期が始まりました。長い夏休み、大きな事故もなく本日を迎えられましたのも保護者、地域の皆様のご支援の賜と感謝申し上げます。

 さて、8月の末、6年生を対象に「市長さんと語る」と称して「省エネ・節電」についての体験学習会がありました。上郷小、小郡南小そして本校と3校から30数人が集まり、本校からは9人が参加しました。発電の仕組みや電気の起こし方(磁力・風力など)を体験し、電気を起こすにはエネルギーが多く必要であることを知り、その後学習会があり市長さんと省エネ・節電の必要性やその方法を話し合いました。本校から参加した9人も発言し市長さんとの会話を楽しんでいました。

 会の終了の挨拶で市長さんが「みんな夏休み疲れなのか元気がないね。もっと大きな声で発言するといいね。」とおっしゃいました。確かに後ろで聞いていてもほとんどの子供が良いことを言っているのに発言内容が聞き取れず何度も聞き返される場面がありました。参観なさっていた保護者の方も同感の様でした。3校の子供が初めて出会う者同士であったり、市長さんや保護者の目もあったりして気恥ずかしさもあったのかもわかりませんが、それにしても・・・

 コミュニケーションの第一歩は声を発すること、自分の思いを身体で表現することから始まります。だから挨拶をしようと指導しています。その挨拶も相手に届かなければ価値が薄まります。だからその場にあった声の大きさが必要なのです。国際化の中で堂々と諸外国の人とも接することのできる日本人の育成をめざして本校では「自分の思いや考えをもち、学び合いを通して深い読み取りのできる子供の育成 〜伝え合い高まり合う授業を創る〜」を研究テーマとしています。国語の教科を通して、主体的に学び、たくましく生きる子供を育てるために、我々教師は何をしたらよいかを追求しています。

 11月25日(金)には、本校で第50回全国国語科教育研究大会を開催し18学級で授業公開をします。全国からの授業者・山口県の授業者そして本校職員が腕を競って授業を行います。指導者の腕の競い合いもさることながら、競い合いたいのは子供たちの活躍です。自分の考えをしっかり持って場にあった声の大きさで堂々と意見を述べ合い、知恵を獲得していく姿を示したいと思っています。

 お願いがあります。子供たちが声を出すことが一番です。家では音読をしっかりと、また地域では挨拶をきちんとできるように声掛けをお願いしたいのです。場にあった声の大きさで話のできる子供を生活の中でも育てたいと思います。大会では全国の先生方に“小郡小学校ここにあり”と言えるように。




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平成23年度版 学校だより「そよげ風」 7月号より

トイレのスリッパと挨拶から始まる本校のキャリア教育

  
                           校長 上 田 保 明

 6月上旬、お客さんを校内案内しておりますとトイレを突如としてご覧になり、「トイレのスリッパがきちんとそろっている学校は珍しいです。小郡小学校の子供たちはすばらしいですね。」とお褒めの言葉をいただきました。下足箱の靴はきちんとそ
ろっており自信を持っておりましたがトイレのスリッパまでは気がつきませんでした。振り返ってみますと職員も日頃から気をつけ、声をかけていたようです。まその背景には各家庭のしつけもあるなと一人合点したところです。次に使う人のことをおもいやる心遣いは豊かな社会生活を過ごす上で大切なことです。

 今、少子高齢化の進む中、若者の職業意識が変わり、いわゆるフリーター(定職をもたない)やニート(職に就かない)、パラサイト(親に寄生)といった若者が増えたため文部科学省は危機感を高め“キャリア教育”を小学校から実施するよう唱え、山口県教育委員会も重点指導事項の一つに掲げています。キャリア教育とは、「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身に付けさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育」を小学校から行って、若者の職業意識を変えようとするものです。

 小学校では一体何をすればよいのでしょう。小郡小学校でも地域学習でいろいろな職場を取材したり、いろいろな職業の方を招いてお話を聞く機会を設けたりしていますが、私は小学校では社会生活を営む上で大切な基本的な生活習慣を身に付けさせることが重要と考えます。立派に社会生活をこなせることがキャリア教育の基礎ではないかと考え、その素地をしっかり養うのが小学校教育の責務と考えるのです。挨拶ができること、身の回りの整理整頓ができること、服装がきちんとしていること、相手に応じた言葉遣いができること、トイレのスリッパなど公共のものは次に使う人のことを考えてあげられること等々社会の中で生きる生き方を学ばせたいと思っています。

 その点、先の訪問者の方の言葉は嬉しかったのです。基本的な生活習慣は一朝一夕に身に付くものではありません。まして目に見えにくいトイレのスリッパにまで気を配ることはなかなかできることではありません。お客さんがたまたま見られたとき整頓されていたのでしょうが、それでもすごいことです。各家庭でのしつけもしっかりなされていることを実感した事例でした。

 小郡小学校では、確実にキャリア教育を実践中で、身に付けつつあります。ただ、挨拶は気になります。交通指導に立たれた保護者の方からもよい評価は聞きません。トイレや挨拶から始まるキャリア教育というキャッチフレーズで、今一度、学校と地域・家庭が一体となって子供たちの望ましい生活習慣づくりに関わりたいものです。将来の日本を背負う誇りを持った職業人を育てるために。




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平成23年度版 学校だより「そよげ風」 6月号より

延期した運動会に小郡小パワーをみる

  
                           校長 上 田 保 明

 30日に春の運動会を実施しました。異常気象ともいえる梅雨前線の北上、加えて台風2号の接近で、やむなく運動会を2日にわたって延期しました。各ご家庭におかれましてはお弁当の準備、休日の計画等、気をもませました。

 ところが嬉しいことばかりの運動会となりました。夜半まで風雨があったので前日準備はできず、テントは骨組みだけ組み立てた状態。運動場は所々水たまりがありぬかるんでいました。職員は早朝から自主出勤し準備をしておりましたところ、地区テントの設営でいらっしゃっていた方やPTAの役員、“おやじの会”の方々が水抜き・テント張り等を積極的に手伝ってくださって、定刻に開始することができました。皆さんの協力に感謝(運営に当たっては、体育部を中心とするPTA役員の陰の力にも感謝)。

 最高に嬉しかったのは主役である子供たちの活躍です。5・6年生の係活動の積極性、すばらしい演技の数々。中でも1年生の成長は目を見張るばかりでした。入学してまだ2ヶ月経過していないのに、カーブを上手に走る徒競走、2年生の好リードもあって立派なダンス。3・4年生は躍動感あふれる“エイサー”。5・6年生は定番となっている組体操。今年はアイデア豊富で、7段ピラミットは勇壮でした。6年生が保護者と走る“いっしょに走ろう”は和やかでした。応援合戦はそれぞれ工夫され、声がよく出ていました。騎馬戦はこれまた闘志むき出しで迫力がありました。色別対抗リレー、これにも感動しました。期待を背に走る姿はすばらしい。大きく差が開いてもゴール目指して一心に走る姿に感動。子供たちが大活躍の感動感動の運動会でした。

 私が言うのもおこがましいのですが、その陰には我々教職員の姿があることも実感させられた運動会でした。企画のみならず当日の機敏な動き、組体操や騎馬戦では安全に配慮した動きや子供と共に楽しむ教職員の姿もあり私の喜びを増しました。

 まだまだ嬉しいことは続きます。今年も後片付けを“おやじの会”のお手伝いをいただき、短時間で通常の学習環境が整いました。これまた感謝です。

 子供たちが主役で大活躍の運動会を振り返ると、小郡小学校の一員である保護者・地域の方々・教職員がおのおのの部署で子供たちのために一生懸命に関わる姿はそのまま子供たちに伝わるのだと改めて思い知りました。まさに“チーム小郡小”。

 ところで、一つだけ残念なことがありました。運動会の翌朝、運動場のゴミ拾いの当番の子供が、ビールの空き缶一つ、タバコの吸い殻数本を拾って来ました。本校敷地内は“禁酒・禁煙”です。ルールを守らない大人の姿も子供たちはしっかりと見ています。今後も、小郡小学校の子供たちのために“チーム小郡小”の自覚を持って、それぞれのお力添えをよろしくお願いします。




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平成23年度版 学校だより「そよげ風」 5月号より

今年度は“おはつ”の精神で「おもしろ おかしく」

  
                           校長 上 田 保 明

 1年生も学校生活に慣れ、暖かな春の日差しの中元気いっぱいに活動する姿を目にすると思わずほほもゆるみます。今年度も子供たちの一層の成長を願って学校経営に取り組みます。

 学校経営の基本方針は、こちらのページ に掲載しております。昨年度の考えを継承しますが、本校3年目となります本年度はまとめの1年と考え、さらに磨きをかけ、今後の小郡小学校の校風の基礎づくりの年としたいと思っております。ご理解をいただきご協力をよろしくお願いします。

 私は“ことばの教育を柱として道徳性の涵養を図る”教育を2年間進めてきました。日本語の美しいことばには文化があり、日本人として生きるべき指針が内包されています。それらは道徳観として私たちが脈々と受け継がなければならないものでもあります。“ことばを学ぶこと”は、いわば日本人の誇りを学ぶことでもありましょう。その日本人のすばらしさを示してくれたのが東日本大震災でした。あの難局の中にあっても秩序ある行動がとれたのはすばらしい道徳観を身に付けているからに他なりません。“ことばの教育”と“道徳性の涵養”を図る教育を徹底します。

 教育は信頼なくして成立はしません。信頼は愛情なくしては生まれません。そこで、かけがえのない一人一人を大切にするために「愛情の翼で抱け、あの子も この子も」をキャッチフレーズとして子供たちに接していこうと教職員一同、申し合わせたところです。@小さな事へ誠意を持って対応し、 A音読で子供を変える Bわかる授業 楽しい授業の実施を行います。

 ところで、人は毎日同じ事を繰り返しておりますと新鮮さが薄れ惰性的に日々過ごしてしまいがちです。そこで本年度のキーワードは“おはつ”を取り上げました。これは詩人工藤直子さんの詩「まいにち/「きょう」の日がのぼり/まいにち「きょう」の風が吹く/まいにち「おはつ」/まいにち あたらしい」から頂戴しました。日々の生活の中に“おはつ”を見出そうとする気持ちを持って生活すると新鮮さを味わえ、新たな感動も生まれます。私たちは“おはつ”の精神で子どもに接し、日々成長の感動を共有したいと思っています。また、その成長は“おもしろ おかしく”語り合いたいと思います。一生懸命取り組んだことは成果として必ずや現れます。保護者の方々と一緒になって、作家井上ひさしさんの言うように「むつかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをおもしろく」子どもの成長を語り合える1年としましょう。

 地域・保護者の皆様と共に、「ことば」と「道徳性」の教育の成果は子供の姿として、本校を会場に開催されます11月25日の全国国語科教育研究大会で全国からの来校者にお示ししましょう。教職員も子供の姿として示すという自負を持ち、一丸となって奮励努力中です。




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平成23年度版 学校だより「そよげ風」 4月号より

チーム小郡小・・・東日本の復興のためにできること  

                           校長 上 田 保 明

 新しい1年生を迎え、新しいスタッフで新しい年度が始まりました。希望の春ではありますが、3月11日に起きました東日本大震災について語らずにはおられません。突如として起きた大地震と津波の映像に釘付けとなり津波の脅威をまざまざと見せつけられました。多くの命が奪われたこと、1ヶ月たった今も、何もかも失った多くの人が不自由な避難所生活を送っていらっしゃることを思うと胸が痛みます。ご冥福と早期の復興を願わずにはおられません。

 本校でも、子供たちの発案で少しでも力になればと、年度末ではありましたが、卒業式前に募金活動を行い、37万円のお金が集まりました。自分の貯金箱を持参する子、家族からの募金とメッセージを寄せる子などの姿から、小郡小の子供、保護者の力を見せつけられました。また、春休みには卒業生の保護者の方々がランドセルを60個も集められ被災地に送られました。同じ子を持つ親の気持ちが後押ししたようでこれまたすばらしい姿でした。

 全国民が被災地の復興を願い、まさに「チーム日本」です。この言葉は、日本が一丸となって復興に協力しようというスローガンです。しかしこれは、被災地に物資を送ること、募金をすることのみならず私たち一人一人ができることを、個々人がしなければならないことをしっかりやっていくことも復興の手助けであることを意味していると思います。サッカーを例にしても、“フォワード”という攻める人、“ディフェンス”という守る人、そしてゴールキーパーがいるようにそれぞれが役目を担って役目を果たして初めてチームとなるのです。こう考えると、我が小郡小でも「チーム小郡小」で頑張ることが、日本の復興へ力を貸すことではないかと考え、新年度の始業式で子供たちに話したところです。

 小郡小の子供、そして教職員、保護者、地域の方々で構成される「チーム小郡小」のそれぞれの役目とは何でしょう。まず子供たちの役目とは勉強を頑張ることです。勉強を頑張ってたくましく健やかな心と身体を手に入れることです。そのためには“目標”をもって日々生活しようと話しました。教職員は熱意を持って日々教育に当たること(最初の職員会議での話)、保護者は基本的な生活習慣を子供にしっかりと身に付けさせ心を育むこと、地域の方々は温かく見守り声をかけていただき多くの目で見ていることを子供に知らせることだと思います。そうして健やかな小郡っ子を育てることが「チーム小郡小」であり、日本の復興になると確信しています。

 今回の震災を教訓に「チーム小郡小」の考え方で、保護者、地域の方々、そして学校がそれぞれの役目をしっかり果たして、誇れる小郡小っ子の育成にがんばりましょう。チーム小郡小!



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平成23年度版 年度当初の校長先生のあいさつ

年度当初の校長先生のあいさつは、こちら に掲載されています。

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