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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 3月末号より

桜の季節に思う

                                             校長 藤田辰夫
 
 桜の季節にいつも思い出す話が二つあります。

 一つは、ある中学校の校門付近に早咲きの桜がありました。桜の木は街路樹で、その中学校の校庭にあるわけではありませんが、大きな枝は中学校の門付近まで伸び、卒業式の後その桜と記念写真を撮ることが恒例となっていました。
 ところがある年、物々しい警戒の中、その桜の木は切り倒されてしまいました。聞くところによると、ご近所から花びらが車についたり家に入ってきたりして掃除が大変だと、市役所に苦情があり、市役所は直ちにその桜の木の伐採を決定したということです。その中学校の卒業式は、味気ないものになったことはいうまでもありません。もちろん、個人の生活も大事ですが、何かもう少し智恵はなかったのかと思われます。

 もう一つの話は、福岡市の話です。土手に桜並木がありました。市の道路拡張工事で、これらは伐採が予定されていました。ところが1本の桜の木に『花守り進藤市長殿』と書かれた、次のような色紙がかけられました。「花あはれせめてはあと二旬 ついの開花を ゆるし給え」、これは、「(伐採を)せめてあと220日待って、最後の花を咲かせてやってくれ」という意味です。これが、地元新聞に掲載され、翌日から桜並木には多くの市民の歌がかけられました。
 そして、その歌の中に次の一首がありました。「桜花(はな)惜しむ 大和心の うるわしや とわに匂わん 花の心は」(香瑞麻)これは、当時の進藤一馬市長が、最初の歌に対する市長自らの返歌だったのです。進藤市長の英断で桜の伐採は中止になり、桜並木は保存されました。

 昨今、寛容の時代は終わったといわれます。しかし、人間同士の関係は、そんなにもろくありません。対話とコミュニーケーションで心が通じあえると思っています。小学校教育の根幹は、ここにあるとも思っています。
 あの歌をかけた土居善胤さんが、当時の経緯を、『花かげの物語』として出版しています。人と人との美しくも心温まる話が綴られています。
 
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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 3月号より

伝統の継承とは

                                             校長 藤田辰夫

 立春とはいえ、寒波が襲来しまだまだ寒い日が続いています。しかし、庭の梅の花に春の気配が感じられる季節となりました。3月は、1年間のまとめの月と同時、6年生にとっては小学校生活最後の月となります。

 先般、学友区児童会が行われ、仮の学友区長や各登校班のリーダーの選出が行われました。登校の様子を見ていますと、新リーダーへ6年生がいろいろと指導をしている様子が見受けられました。新リーダーとしての責任感も高まっていっているのではないかと思います。また、委員会活動に4年生が参加し、見習いとして一緒に活動しています。上級生に仕事を教わりながら、一生懸命活動している姿は好感が持てます。放送委員のたどたどしい放送も今の時期ならではの事です。

 2月20日に、新1年生の仮入学を行いました。ここで活躍したのが5年生です。元気のいい新1年生を学校の中を案内したり遊ばせたりしていました。さらに、交通安全教室では、横断歩道の渡り方を一緒にやって、上手に学習させていました。こうして6年生としての自覚が芽生えていくのだと感心をしました。

 3月になると、6年生は、卒業式の練習が始まります。この練習を繰り返す間に、卒業への思いを高めていきます。家族の愛情や友人の支え、先生の指導や地域での見守りなどへの感謝の気持ちが徐々に深まります。そして、卒業という一つの節目を迎え、自分を見つめ直し新たなステージへ希望を抱き飛び立つのです。

 「ゆずりは」という植物があります。春に新芽が出ると、まるで代を譲るかのように一斉に前年の葉を落とすことからこの名前が付きました。「代々の家督の継承」を象徴する縁起のよい木として、また葉の入れ替わりがはっきりしている点を新年を迎えることになぞらえて正月飾りに使われる事は、ご承知のとおりだと思います。

 学校は、多くの行事をこなしながら1年間が過ぎていきます。今年1年間の成果が、伝統として次の代へ継承されます。そういう意味では学校も一つの生きものです。1年1年成長を続けていると思われます。子どもたちでいえば、1年間という時間が1人1人のそれぞれの成長促します。新しい自分を発見していくのです。3学期始業式で、「3学期は短い。心の準備をして次に備えよう。」と話しました。その成果が目に見えるような、残り1ヶ月にしたいと思います。
 
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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 2月号より

卒業式の歌によせて

                                             校長 藤田辰夫

 「旅立ちの日に」という歌があります。昨年の小郡中学校の卒業式でも歌われていました。この曲は秩父市立影森中学校で作られた合唱曲で、作詞は当時の小嶋登校長、作曲は音楽の坂本浩美(現高橋)教諭。小嶋校長は、荒れていた学校を立て直すために、「歌声の響く学校」を目指し、合唱の機会を増やしました。最初こそ生徒は抵抗しましたが、歌う楽しさによって学校は明るくなりました。

 坂本教諭は、その3年目の集大成として、「卒業する生徒たちのために、何か記念になるものを残したい。」との思いから、作詞を小島校長へ依頼しましたが、「私にはそんなセンスはないから」と断られたといいますが、翌日、坂本のデスクに書き上げられた詞が置いてあったといいます。その詞を見た坂本は、なんて素敵な言葉が散りばめられているんだと感激して、「メロディーが天から舞い降りてきた。」と、わずか15分で曲を作り上げたと話しています。

 出来上がった曲は、最初はたった一度きり、「3年生を送る会」で教職員たちから卒業生に向けて歌うためのサプライズ曲のはずでしたが、その曲のよさに、翌年からは生徒たちも歌うようになりました。

 しばらくは影森中学校だけの合唱曲でしたが、まわりの小中学校でも使われだし、その後、音楽教育雑誌に楽譜が掲載されたことで、全国の学校で歌われるようになりました。また、教科書出版の2社いずれの教科書にも掲載されています。

 あるテレビ局が調査した「卒業式に歌う歌は」によれば、「仰げば尊し」、「大地讃頌」、「蛍の光」、「巣立ちの歌」、「贈る言葉」などに代わり「旅立ちの日に」が、今、最も広く歌われているという調査結果がでました。全国の約6割の学校で歌われているということです。

 たった1校の中学校での取り組みで生まれた曲が、ここまでの共感を呼んだのです。心に響く、感性を育む教育の大切さを物語っています。
 
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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 1月号より

遊びの大切さについて

                                             校長 藤田辰夫

 校長室から中庭や校庭で遊ぶ子どもたちの姿がよく見えます。
 先日、たくさんの子どもたちが縄跳びをしている様子が目に入りました。昇降口の横に3台ほど縄跳びの補助板があります。これは、校務事務の白上さんに作ってもらったものです。この上にあがり、順番に自分の技を披露しています。一人の子がきれいに二重跳びやあや跳びを何回もしています。縄跳びが上手な子は,少し得意そうな顔、周囲で見ている子は、尊敬のまなざしです。板から降りて次の子と交代です。その子は、目を輝かせ、早速その技に挑戦しています。上手な子は、何やら教えています。特に偉ぶったりしている様子は見られません。縄跳びとおしゃべりと笑顔の素敵な遊びのひとときでした。

 このような光景は本校ではたくさん見られます。子どもは、体を動かし、友だちと遊ぶことの楽しさを理屈抜きで知っています。大人は、子どもの遊びの効能をあれこれと考えますが、子どもはそれほど強く意識はしていません。子どもたちは、友だちと一緒に縄跳びで遊ぶことそのものが楽しいのです。だから遊んでいるのです。子どもは、確かにすべての生活の中での遊びをとおして、知らず知らずのうちに多くのことを学び、一人の人間として成長していくことに間違いはありません。

 ここでいう重要な遊びとは、一人だけでする遊びではなく、集団での遊びをさしています。私たち大人は、人(子ども同士)と時間と空間(場所や道具等を含めた)に目を向けなければならないと考えます。

 放課後、学習塾や習いごと等が増え、遊ぶメンバーが集まらなかったり、時間が限られたりする傾向が見られます。しかし、本校の児童は、短い休み時間や放課後等で校庭や中庭などで、体を思いっきり動かして、集団遊びに興じています。特に、早く学校から帰れる日は、多くの子どもたちが学校へ遊びに来ています。

 校庭や公園は、誰が約束をつくったということではないのですが、それぞれの学年によって遊ぶ場所が大体決まっているようです。この点から見ても遊びをとおしての子ども社会が成立しているのではないかと思います。

 ただ、気になることは、集まっているだけで、ゲームに夢中になっている子どもたちがいることです。体を動かして活動する遊びをさらに奨励して、集団遊びの楽しさ、おもしろさを実感させたいと思います。

 冬休みになりますが、外に出て大いに体を動かし、「健やかな」生活を過ごしてほしいと思います。
 
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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 12月号より

学校間連携・地域との連携について

                                             校長 藤田辰夫

 従来学校は、「社会に対して閉鎖的である」とか「物事を隠す傾向にある」とかいわれてきました。教育改革が進み、「各学校が創意工夫を生かし特色ある教育、特色ある学校づくりを進めること」を基本に、「開かれた学校づくり」に取り組んできました。ここ数年、保護者や児童、さらに地域の方へのアンケート調査や地域人材の学校への招聘、あるいは授業への積極的な参加などがその一環です。

 また、学校間の連携と交流の促進も図ってきました。小郡地域では、3小学校と5園とで構成する、「小郡ブロック幼保小連絡協議会」の実施です。毎年持ち回りで授業公開や保育公開などを行い、協議や情報交換を通じて、子どもたちの育ちの継続性を見守っていこうとしています。

 2つめは、小中連携や小小連携です。1中3小の校長を含めたそれぞれの係ごとに協議会を実施し、情報交換をして、指導の連続性や中学校へのなめらかな接続を促していこうとしています。11月8日に、3小学校の6年生が、中学校の見学会を行いました。授業参観や施設の見学を行い、中学校進学への不安の払拭と期待感を持たせました。さらに、11月26日には、中学校の先生方が、3班に分かれそれぞれの小学校へ学校訪問し、授業参観や協議を行いました。

 さらに、学校だけではなく、PTAの連携・協力も進んでいます。例えば本校のおやじの会が中学校の奉仕作業に参加して、作業を手伝ったという事例もあります。PTA関係者の交流会や協議会を開き、4小中が同一方向で子どもたちの育ちを見守っていこうとしています。

 現在県教委は、「地域協育ネット」構想を打ち出しています。これは、中学校区ごとに、校区の課題を共有し、地域ぐるみで子どもたちの育ちや学びを支援していこうとするものです。

 小郡地域もこれを見すえて、今後、組織作りやコーディネーターのお願いなど、取り組んでいかなければならないと考えています。学校間連携、地域と学校連携等、地域で子どもを育成していくことが重要だと考えています。
 
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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 11月号より

子どもたちの体力ついて

                                             校長 藤田辰夫

 暑い日が徐々に少なくなり、過ごしやすい気候になってきました。子どもたちが外で元気に遊ぶ姿を見ていると、とても清々しい気持ちになります。外遊びは子どもの成長には欠かせない重要なことです。

 さて、このような元気な子どもたちですが、実は、本校の体力テストの状況を見てみるとあまりかんばしくありません。全体的に全国平均を上回る種目が少なく、逆に下回る種目が多数を占めています。


 まず「握力」ですが、高学年の女子は、全国平均を少し上回りますが、全学年で平均値を1s〜2s下回ります。

 「上体起こし」(腹筋)は、全学年男女ともほぼ全国平均並みですが、高学年で下回る傾向にあります。

 「長座体前屈」(座って前屈み)は、全学年男女とも、全国平均以上で、5p以上上回った学年もあります。下回った学年も1〜2pの差でした。

 「反復横跳び」は、ほとんどの学年男女とも平均値以下です。上回った学年がわずかに2学年です。

 「20mシャトルラン」は、全学年男女とも、平均値以上です。一部高学年で下回りましたが、差はわずか3回程度でした。

 「50m走」は、ほとんどの学年男女で平均値を下回りました。

 「立ち幅跳び」は、ほぼ全国平均並みですが、7p余り下回る学年もあり、学年によって差があります。

 「ソフトボール投げ」は、ほとんどの学年男女で、平均値を大きく下回っています。全体では、3m〜6mの差があります。



 学校全体で見てみますと、「20mシャトルラン」の成績がよく、持久力に長けていることがわかります。逆に、「50m走」「立ち幅跳び」等の、瞬発力が問われる種目が弱いといえます。また、「ソフトボール投げ」は、平均を大きく下回っており、早急な対策が必要です。

 そこで、学校では、

@ 日々の体育授業の充実

A 朝の時間や昼休み時間の活用

B 外遊びの奨励などを重点項目として取り組んでいます。特に、朝の時間を活用した、「ランニングタイム」や昼休み、体育委員会を中心にした「シャトルスロー」大会などを企画し、体力向上に向けた取り組みを行っています。


 ご家庭でも、外遊びの奨励等できるところからご協力をお願いします。



お知らせ


 10月30日、3年生以上で、県下全域で学力定着確認テストが実施されます

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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 10月号より

子どもの時に「させたい体験」

                                             校長 藤田辰夫

 日本教育界に多大な影響を与えた、森信三先生は、50年前に、子どもの基本的な躾は「返事・挨拶・後始末」の3つだと書いています。最近では、これに加え、子どもたちの日常的な体験不足も指摘されています。ある雑誌に掲載されていた、有識者が選んだ、「子どもにさせたい体験」のベスト5を紹介しておきます。

ベスト1 「家事の手伝い」

 家事の大変さの理解と家族の一員としての自覚やお互いを思いやる気持ちを育てるのに役立つといいます。学年に応じて、例えば庭掃き、新聞の取り込み、風呂洗い、雨戸の開け閉め、食事の準備や後始末、食器洗い、自分の靴洗いなどです。


ベスト2 「本を読む」

 読書の効用は言われ続けているところです。読むだけでなく、これに読み聞かせも大切だと指摘しています。本校では、図書ボラさんの読み聞かせを、高学年の子どもも楽しんで聞いています。


ベスト3 「自然を感じる・味わう」

 川や海遊び、キャンプや農業体験など、自然とふれ合い、自然の音や風を感じる体験から、驚きや感動を素直に表現する子どもに育ち、自然を大切にする心や忍耐力が育つといわれています。昔の中国に、「浩然(こうぜん)の気を養う」という言葉があります。「浩然」とは、天と地の間に充満している非常に大きく強い「気」で、自分の行動が正しければ、この「気」が身体中に満ちて、何事にも屈しない道徳的な勇気になるとされています。このことからも、自然とふれあうことで、正しくたくましい精神が育つといいます。


ベスト4 「地域の伝統行事や地域主催行事への参加」

 地域や公設機関などで様々な行事が行われます。日頃なかなか経験できない催しもたくさん開かれます。お祭りや自然体験などの貴重な体験もでき、社会性が身につくと指摘されています。また、地域の方々に、子どもの顔と名前を知ってもらっておくと、事件や事故などいざというときに強い味方になってもらえる可能性もあります。


ベスト5 「異学年のスポーツ少年団や文化団体への入部」

 横並びの集団よりは、縦割り集団はその中に規律があり役目もあります。また、多くの人と接することで社会性や感謝の心も醸成できると指摘されています。かつては、地域の異学年の集団で遊ぶということがありましたが、現在ではほとんどありません。スポーツ系は、それぞれの競技の特性で身につくことも様々あると思います。文化系もダンスや歌・楽器の音楽類から、ボーイスカウトやガールスカウトなど各種あります。学校だけでは経験できないことが多くあると思います。


 人間の育ちは、自然に身についていくものもあれば、意図的に仕組んで身につけるものとがあります。体験は後者でしょう。子どもたちによりよい体験を積ませることで、たくましい子どもたちが育っていくことを期待したいと思います。

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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 9月号より

今年の夏に思う

                           校長 藤田辰夫

 今年の夏は本当に暑い日が続きました。外を歩くだけでじりじりと肌を刺すような日差しが容赦なく降り注いでいました。子どもたちはどんな夏休みを過ごしたのでしょうか気になります。
 この暑さの中、高校野球を始め多くのスポーツ大会が全国各地で開催されていました。スポーツ大会だけではなく、文化の大会も数多く開催されていました。その中の一つに、山口市で開催された、全国中学校総合文化祭がありました。開会式に出席をしましたが、お世話をする市内の中学生のきびきびした態度や言葉づかいに感心をしました。きちんとした指導がされていると感じました。全国から集まった中学生たちの熱い演技や演奏などもすばらしい出来栄えでした。

 また、夏休みは各種の音楽コンクールが目白押しです。代表的なものは、本校の吹奏楽部も出演した、吹奏楽コンクールです。小・中・高・一般・職場まで合わせると実に177団体が出演をしました。その他にも、合奏コンクールや合唱コンクールなど、多くのコンクールが開催されました。

 私は、ずいぶん前から、県の音楽の世話をしており、夏休みはこの多くのコンクールの世話が大変です。日頃の力が出せるように、運営する方も遺漏が無いようにと緊張して取り組みます。

 結果の発表では悲喜こもごもです。私もこの結果を発表する役目を何度も経験しましたが、一生懸命練習してきた子どもたちに、みんないい賞をと願うのは私ばかりではないと思います。しかしままならないのが勝負の世界です。心苦しさを何度も経験しました。

 そんなコンクールを何度も見ていて気付いたことがあります。相対的ではありますが、いい賞を取る学校は、児童や生徒の返事・礼儀・規律などが極めてしっかりしていることです。指導をされる先生方は、日頃の生活態度からしっかりと指導をされているのでしょう。音楽を教える前に人間として大切なことをしっかり指導しています。それが本番の演奏にも出てくるのでしょう。

 この夏、甲子園でも礼儀正しい高校が話題になりましたが、部活やスポ少など、すべてこの人間教育の一環である事を忘れてはいけないと思います。

 さて、本校の吹奏楽部は、残念ながら中国大会へは進めませんでしたが、夏休み中、難曲を必死になってよく練習していました。このがんばりは賞賛に値するものです。新たな目標を見いだし、次へのがんばりを期待したいと思います。   

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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 7月号より

地域が育てる子どもたち

                           校長 藤田辰夫

  小郡地区には多くの団体や会があります。それぞれ発足の趣旨は違うものの、一貫しているのは、小郡の子どもたちを健全に育成したいという思いや願いです。
 
 まず、組織的に一番大きな団体が「おごおり地域づくり協議会」です。地域の各種団体が所属していて、7部会編成でそれぞれの部会で独自の活動を展開しています。学校も生活安全部に参加し、児童の安全確保や健全育成などに取り組んでいます。重点施策として、あいさつ運動の推進をあげ、キャッチフレーズとして、「笑顔であいさつしよう」を策定しました。この言葉を入れた缶バッチの図案募集や作成を手がけて、子どもたちに配布も行いました。

 次に、「たくましい小郡の子育成協議会」があります。地域教育部・学校教育部・家庭教育部の3部からなり、部単位で活動を行いながら全体として各種の講演会やPTA主催のふれあいフェスタへの協力などの事業を展開しています。今年度の重点取り組みとして、あいさつ運動の推進を掲げて、それぞれの部会ごとに取り組むこととしています。

 さらに、学校関係では、「小郡ブロック幼保小連絡協議会」があります。これは、幼稚園・保育園から小学校へ子どもの育ちのつながりを共有し、共通事項を決め指導をしていこうとするものです。今年度の共通取り組みは、「笑顔であいさつ」です。各校園で実践をしていくことにしています。

 さらにもう一つ、「小郡地区小中連携教育連絡会」というものがあります。小中連携の視点で、共通の実践事項を決め、共同して取り組むことで、小学校から中学校へ違和感なくなめらかに接続をしようとするものです。今年度の共通実践項目は、「笑顔であいさつ・無言清掃・服装を整える」です。また、あいさつの仕方を小中で統一して取り組もうとしています。それは、職場体験や職場見学などを通じて社会と接点があるとき、あいさつのマナーとして、「語(ご)先(せん)後(ご)礼(れい)」(先に言葉であいさつをしてその後に礼をすること)を実践して欲しいとの願いからです。各小中学校で今後取り組むこととしています。

 こうしてみていきますと、どこの団体や会においても、あいさつを重点施策としてとらえ、小郡の子どもたちには、「あいさつができる子」になって欲しいとの思いや願いが出ています。あいさつ運動には、様々な立場で賛否両論があると思います。先月号でも書きましたが、だんだんあいさつが良くなっていると聞いています。この運動は、子どもたちだけではなく地域の大人たちも一緒になって取り組む必要があると思います。子どもたちにとっては、見知らぬ人からの声かけには反応が鈍いかもしれませんが、顔がわかってくると反応も変わるかもしれません。小郡がさわやかな笑顔であいさつができる地域になるよう、学校もさらに取り組んでいきたいと考えています。

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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 6月号より

子どもたちの成長を祈って

                           校長 藤田辰夫

 よく知られた言葉で、「衣食足りて礼節を知る」という言葉があります。中国の思想家管仲の言葉です。人は豊かになり生活が安定すると礼儀をわきまえられるようになるという意味ですが、昨今は「衣食足り過ぎて礼節を忘れる」傾向があるように思います。

 越川禮子氏の著書「江戸しぐさ」によると、衣食が質素だった江戸時代はきちんとした礼節があったといいいます。江戸時代の子どもへの教育は「3つ心、6つ躾、9つ言葉、12文、15理で、末決まる」といわれていました。これは、3歳までに五感を伴う心を育て、6歳になると振る舞いに節度をもたせ、9歳までにきちんとした言葉遣いができ、12歳で文章が書けるようにし、15歳では物の道理が分かるように教育したということです。

 さて、今年度になり、地域や見守り隊の方が、「今年は、子どもたちがよくあいさつをする。」「受け答えがよくできる。」「服装がきちんとしている。」など、子どもたちをほめられる言葉を数多くいただいています。生徒指導の担当教員が、さっそくお昼の放送で、見守り隊の方のインタビューなどを流し、さらなる啓発を子どもたちにしていました。 

 毎朝、昇降口に立っていると、確かに昨年に比べ、全体的にあいさつの声が大きくなったような気がしています。これには、おやじの会のあいさつ運動、生活教養部のあいさつ運動、見守り隊の皆さんの声かけ、地域づくり協議会から配布された缶バッチなど、少しずつの地道な取り組みが徐々に、そして確実に効果をあげているからではないかと考えています。

 最近は、シャイな子が多く、顔見知りの人にでも積極的に自分からあいさつをする子どもや自分の思いや考えを表に出す子が少なくなってきています。そこで、今年は子どもたちに、声を出すことを奨励しています。一度大きな声を出せば、だんだんと慣れていき抵抗感がなくなるのでは無いかと思います。今、運動会の練習真っ盛りですが、元気のいい大きな声が運動場に響いています。きっと、運動会でも大きな声で演技してくれるものと思います。

 成熟が早い江戸時代に比べて、現代の子どもたちは、大人への成長がだんだん遅くなっていますが、ほめて伸ばし、自信を持たせれば、確実に成長できると思います。今後も地域や保護者の皆さんと共に、粘り強い取り組みを行っていきたいと思います。よろしくお願いします。

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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 5月号より

美しい言葉

                           校長 藤田辰夫

 今年度で実施3年目を迎えた新学習指導要領ですが、今回新しく加わった事項に「伝統や文化に関する教育の充実」として次のことがあげられています。


 ことわざ、古文・漢文の音読など古典に関する学習の充実(国語)

 歴史教育、宗教、文化遺産に関する学習の充実(社会)

 そろばん学習(算数)、和楽器や唱歌の学習(音楽)

 地域の伝統と文化を踏まえた学習(総合的な学習の時間)

 武道の必修化(中学校:体育)


 このうち、国語では、「読み聞かせなどを通して、古典に触れる楽しさを実感させたり、音読や暗唱を通して、文語の調子に親しむ態度を育成することが大切」と書いてあります。小学校で古文や漢文などの古典を学ぶ意義は大きいと考えています。それは、日本語には美しい言葉が数多くありますが、なかなか使えていないという現状があるからです。

 かつて、日本は古くから「言霊(ことだま)信仰」というのがありました。言霊信仰とは、声に出した言葉は現実の事象に影響を与えると信じられ、発した言葉の良しあしによって吉事や凶事が起こるとされていました。日本は言霊の力によって幸せがもたらされる国(言霊の幸はふ国)と考えられていました。結婚式などでの忌み言葉も言霊信仰に基づきます。そのため、自分から発する言葉を大切にして、相手を傷つけないように、いろいろな表現方法を工夫してきました。それが、奥ゆかしく美しい日本語を生んだのでしょう。

 自然の中にも、晴れた日に風に運ばれてきた雪片を「風花」、少し降る雪を「小雪」、寒くなって極めの細かい雪を「細雪」「粉雪」、やがて春が近づくと「綿雪」「花びら雪」となります。桜も、満開の桜を「花盛り」、桜の花の白さで、あたりがぼんやり明るく見える様を「花明かり」、桜を散らしてしまう恨めしい風を「花の風」、水面に散った花びらが吹き寄せられ流れていく様を「花筏」と言い表します。多くの人は、情景を思い浮かべ、これらの言葉を美しいと感じるのではないでしょうか。

 先日、3年生の女子が、「校長先生、桜が葉桜になりましたね。」と声をかけてきました。いろいろな美しい言葉が、自然に口から出てくるような子どもたちがもっともっと増えてくると、日本語はさらに美しくなり、いつまでも大切にされるでしょう。学校や家庭で美しい日本語が使われ続けるよう、親子で出し合い語り合ってみてください。


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平成25年度版 学校だより 「そよげ風」 4月号より

新年度を迎えるにあたって

                           校長 藤田辰夫

 今年は桜の開花が早く、満開のもとでの入学式とはなりませんでしたが、新1年生85名が入学してきました。新3年生は、70名ちょうどなので2学級編成になりました。したがって、昨年度より1学級減の20学級、児童数は、13名減の474名でのスタートになりました。
 小郡小学校は、平成25年 1月13日をもって、開校140周年を迎えました。開校に伴う行事等は行いませんが、今年度の大きな行事は、「祝開校140周年記念」の冠会としたいと考えています。ご協力をよろしくお願いします。

 今年度の学校経営方針を次のようにしています。
  (1) やりがい、学びがいのある、子どもにとって通いたい学校の創造
  (2) 「さすが小郡小」と言われ、保護者から信頼される学校の創造
  (3) 地域とかかわり合い、地域社会から愛される学校の創造

 児童一人ひとりが、友達や教職員に認められ、大切にされること、また、充実感・存在感・所属感を味わう学校生活を通して、自信と誇りをもち、自尊感情を高め、安心感や信頼感を培うことができる学校としたい。

 そのためには、教職員一人ひとりが主体性と創造性を発揮し、組織力を高め、指導力を磨き、創意ある教育活動を展開すること。また、人間的魅力を身につけ、品格ある教職員として児童、保護者、地域から尊敬される存在でありたい。このような気概に立って、学校づくりに全教職員で取り組んでいきたいと考えています。また、従来あった「めあて」を、本校の「めざす学校風土」として、次の3点に整理統合しました。
 ○ 校風(めざす学校像)
 ○ 学風(めざす子ども像)
 ○ 教風(めざす教師像)
  このことにつきましては、次号に詳しく掲載します。

 次に、主な重点項目として、
  @ あいさつ、返事など基本的な生活習慣を身につけさせること。
  A 道徳の授業を充実させ、児童の心を育み規範意識の醸成を図ること。
  B 体育活動を充実させ、技能習得と共に児童の体力向上を図ること。
  C 特別活動を充実させ、子どもの自主・自立活動を促進すること。
  の4点を中心に指導をしていくこととしています。

 一人ひとりの子どもたちが輝けるように、保護者の皆様のご協力、地域の皆様のご支援等を受けながら、指導にあたっていきたいと思います。今年度もよろしくお願いいたします。


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平成24年度 現校長先生の着任時あいさつ

着任当初の校長先生のあいさつは、こちら に掲載されています。

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