古生代〜中生代前半
 古生代前期の日本列島は、アジア大陸の一部であったと思われるが、秋穂付近の様子は全くわかっていない。
 古生代後半のシルル期から二畳紀にかけて、現在の日本列島のあるところは海であり、長期間にわたって沈降を続けた。このような所を地向斜といい、この時代の地向斜を秩父地向斜と呼んでいる。地向斜の海底では、、激しい海底火山の活動や土砂の推積が行われ、一万メートルにも及ぶ厚い地層が推積した。
 秩父地向斜では、古生代末から中生代初期にかけて、激しい変動(秋吉造山運動)が起こり、推積物は変形作用や変成作用を伴って陸化したこの変動によって、推積物の下部は低温高圧の変成作用を受け片状組織の著しい三郡変成岩が形成された。また、この造山運動の初期には、マグネシウムや鉄に含むマグマが地下の深部から時殻の割れ目などに沿って入り込み、蛇門岩ができた。

 激しかった秋吉造山運動はその後次第に弱まり、中生期ジュラ紀には比較的平穏な時期であった。秋穂付近ではおそらく陸地であり、陸化した秩父地向斜の推積物が浸食されていたものと思われる。

 中生代後半
 中生代後半の白亜紀は、激しい火山活動とマグマ貫入で特徴づけられる。陸上には大量の火山噴出物が推積し、その厚さは2000m以上に達した。この火山噴出物は秋穂町では現在見られないが山口市南部や小郡町のほかに山口県全域に広く分布している。
 ついで、8000〜9000万年前には、地下に多量のマグマが貫入し、バソリス状の広島花崗岩を形成した。また、マグマの熱のため、これまであった三郡変成岩や蛇紋岩は、熱変質を受けた。
 花崗岩の形成に引き続き、花崗岩などの割れ目に沿って、文象斑岩や煌斑岩などの岩脈が貫入した。

 新生代第三紀〜第四紀前半
 秋穂付近は中生代前半から引き続き陸地であり、地表の岩石はしだいに侵食されていた。そして、地下の深い所にできた花崗岩は長い年月の間に押し上げられ、ついには地表に露出するようになった。うになった。花崗岩が露出した時期ははっきりしないが、宇部付近の宇部層群(4000〜5000万年前の地層)中には、花崗岩に由来する物質が含まれており、当時すでに花崗岩が地表に現れていたものと思われる。

 その後も侵食が行われ、地表はしだいに平坦になっていき、第三世紀末には、大海山などの中起伏山地の原形をなす吉備面が形成された。吉備面は隆起し、侵食され、次第に平坦面を失うとともに、第四世紀前半には、小起状山地の原形をなす一段低い瀬戸内面が形成された。この瀬戸内面も侵食され、秋穂町ではほとんど平坦面を残していない。
 丘陵や山麗緩斜面は、瀬戸内面が侵食される過程で形成されたものと思われる。

 第四世紀後半 第四世紀の更新世中期以降は、何回かの氷河の発達による海面変動があり、推積と侵食により段丘が形成されていった。『図、8・9』は地形や推積物をもとに、それぞれの時期の古地理を復元したものである。
 ミンデル・リス緩表記の海面は、現在より約30m高く、秋穂付近は今の山地だけが島となって、多島海を形成していた。入り江や沿海は、山地からの土砂で次第に埋め立てられていった。この推積物が大道層である。

 リス氷期になり、気候の寒冷に伴い、海面が低下した。海岸線は豊後水道付近まで退き、秋穂付近は侵食の場となり、新しい谷が形成された。ミンデル・リス間氷期に推積した大道層はほとんど浸食され、わずかに山地の周辺に段丘となって残っている。

 リス・ウイルム間氷期になると、海面は現在より14〜15m高くなり、大同層を掘り込んだ谷に海が進入した。この海に秋穂層が推積し、宮ノ旦面を形成した。筈倉粘土層のかふんぶんせきのけっかは、リス氷期からリス・ウルム間氷期にかけての気候変化の様子を示している。また、この時期は現在より暖かい時期であり、当時段丘化していた。仁光寺面を構成する大道層は著しい風化を受け、クサリ礫などの古赤色土が形成された。
 その後、海面はしだいに低下していくが、途中7〜8mの高さに一時停滞した時期があった。秋穂層の一部は侵食を受け、波食台を形成した。これが中野面である。
 中野面形成後、約三万三千年前には、阿蘇よりの火山灰が段丘上を覆った。
 ウルム氷期の最盛期には、リス氷期と同様に海面が低下し、秋穂層は侵食され、各地に谷を刻んでいった。
 ウルム氷期が去ると共に、気候が温暖化し、縄文海進時には、海面が現在より数m高くなり、低地と台地の間の段丘崖付近が海岸線であった。

 縄文海進後は地盤の相対的な上昇によって、遠浅の海ができた。そして沖合いに海岸外州が、その内側に潟湖が形成され、尻川泥炭層などを堆積した。しかし、隆起した海岸はその後しだいに海水の侵食を受け近世初期には、ほぼ干拓地をのぞいた現在の海岸線になっていたものと思われる。

目次
 
「秋穂の地形と地質」松尾 秋穂町公民館発行より抜粋
提供 科学部 平田(陽)