広い荒神原の畑の中に、一カ所だけ岩清水の湧くところがあり、そこに荒神さまが祀ってありました。その堂は久尺と二日で正月二十八日と六月二十二日が祭日で国家安全、五穀成就の御祈祷があり、多人数の人が参詣していました。
ここに湧き出る清水は干天続きでも水量が変わることはありません。畑仕事をして汗をかいても、ここへ来れば冷たい岩清水を飲むことができ、人々は幸せていました。
この岩清水は荒神さまの霊水といい、次のような伝説があります。
旅の老人がこの秋穂まで来て夕暮れになりました。とても人里まで出られそうにもありません。
その様子を見ていた天田の女の人が親切に何くれとなく世話をし、一夜の宿を貸してくれました。
老人は心から感謝して何かお礼をしようとしますが、その女の人は受け取りません。
老人は、ここの久米山が水の不自由な所で困っていることを聞き、この岩清水を置いて去ったと伝えられ、老人こそ荒神様に違いないとここに荒神さまをお祭りし、この付近を誰が言うともなく荒神原と称えるようになりました。
今でも岩清水は変わりなく流れています。